本が読めるようになった 後編

社会に出てからも、

やっぱり本は読まなかった。

ファッション雑誌も漫画も読まなくなって、

いよいよ本そのものから離れるようになる。

家にあった大きな木の本棚も、粗大ゴミに出した。

 

その頃から仕事で悩むことが多くなってきて、

悩み事を逐一、紙に書き出すようになった。

すると頭の中がすっきりして、

冷静に解決策を考えることができる。

この方法が自分には合っていたようで、

以来、とにかく心にひっかかることがあれば何でも紙に書き出した。

 

書き出しを始めてからしばらくして、

たまたま立ち寄った本屋で見かけた本を

(タイトル忘れちゃった…)

パラパラと立ち読みした。

すると。

 

ん?

読める!

読めてる!!

 

文字が蟻じゃない。

ちゃんと文字だし(当たり前だけど)、

行を目で追えるようになっていた。

 

紙の書き出し効果だろうか。

自分が悩んでいることを文字にすることで、

文字から情報を得るクセがついたのかもしれない。

 

自分が本を読めていることが信じられなくて、

近くの図書館で何冊か本を借りて、

試しに読んでみた。

 

ヒャッホーゥ!

読める、読める。

内容がちゃんと、頭に入ってきてる!

 

あの本屋での立ち読みは、夢じゃなかった。

 

ここから、本を読むのが楽しくなってきた。

30を過ぎてからの、読書デビュー。

本は子どもの頃から読んでいないと大人に

なっても読めないと思っていたけれど、

そうじゃなかったみたい。

 

ただ、文字を毛嫌いして避けていただけ。

文字に慣れていないだけだった。

大人になった今なら、

本から知識を得る面白さも分かる。

 

今は何を読んでも楽しい。

amazonで、本を買っては読んでいる。

勢いに乗ってkindle unlimitedにも入会した。

スマホで、読書三昧。

 

本をたくさん読むことに脳がまだ慣れていないようで、

ある程度読むと眠くなってくる。

 

読書、仮眠、読書、仮眠。

最近は毎日、こんな感じ。